mental rayとは、NVIDIAが提供していたレイトレーシングベースの3次元コンピュータグラフィックスレンダリングエンジンである。

元々は独mental images GmbH (後のNVIDIA ARC GmbH) によって開発されていたが、2007年にGPUメーカーのNVIDIAがそれを買収し子会社化した。2017年、開発終了したが、PTC Creo Parametricには未だ搭載されている。

歴史

1989年から2017年に至るまで継続して開発・更新が続いていた。最初、1993年にSOFTIMAGE Creative Environment (後のSoftimage 3D) が mental ray を内部レンダラーとして統合し、その後、その後継のSoftimage | XSI、Discreet Logic社の3ds Max、Alias SystemsのMayaが続いて内部レンダラーとして採用した。また、Autodesk社のCADであるAutoCADやRevitにも搭載された。

2008年、GPU対応REYESスキャンラインレンダラーのGelato (旧Entropy←BMRT、Exlunaより買収)が開発終了となり、その開発チームがmental rayの開発に加わった。

しかし、その後、Softimage社とAlias Systemsの買収を行ったAutodeskは、自社レンダラー「Autodesk Raytracer」 (別名Rapid RT)の開発を進め、また、2016年にArnoldの開発元であるSolid Angle社の買収を行って、同社の製品にそれらを付属することでmental rayを排除した。そのため、2017年にmental rayは開発終了となった。

特徴

フォトンマッピング技術により、物理的に正確なグローバルイルミネーションのシミュレーションを行なうことで、コースティクスのような光学現象を再現することが可能。スペクトルレンダリングにも対応していた。

非写実レンダリング (NPR) 向けとしては、Softimageに付属するToonシェーダに定評があり、これを3ds MaxやMayaから使う方法も存在した。

また、mental rayにはirayエンジンも統合されており (Iray mode)、3ds Maxからはmental rayを通してirayを使うことが可能であった。

NVIDIA Iray

NVIDIA Irayは、NVIDIAが開発するGPU対応レンダラーであり、そのレンダリングエンジンはMental Rayにも搭載されている。

IrayはAutodesk 3ds Max 2011〜2017、DAZ Studio 4.8以降、CATIA V6R2011x以降、SOLIDWORKS Visualize (旧Bunkspeed)、Siemens NX 11以降、Substance Designer 5.3以降、Substance Painter 2以降などに標準で搭載されている。分散レンダリング用としてNVIDIA Iray Serverが存在する。また、3DCG/3DCADソフトウェア用のプラグインとして以下が存在する:

現行
  • Iray for 3ds Max (旧Iray for 3ds Max) - Autodesk 3ds Max用。Lightwork Design開発 (後にシーメンスが買収)。
  • Iray for Autodesk Maya (旧IrayForMaya) - Autodesk Maya用。[0x1] Software und Consulting開発。2022年4月現在Maya 2020まで対応。
過去
  • BIM IQ Render - Autodesk Revit用。Oldcastle BuildingEnvelope開発。
  • Allura Renderer - SketchUp用。Render Plus開発。
  • Iray for Cinema 4D (旧m4d) - Cinema 4D用。at² Softwareが開発していた。開発終了。
  • Iray for Rhino - Rhinoceros 3D用。migenius開発。2022年4月現在Rhinoderos 3D 6まで対応。2023年廃止。
  • ProWalker GPU - Cadalog開発。SketchUp用でIrayベースとなっていたが廃止され、ProWalker CPUの後継のPodiumxRTはIntel OSPrayベースとなっている。

またクラウドレンダリング向けの migenius RealityServer も存在する (migenius は2021年にPTCに買収された)。

Iray

Iray (旧Lightworks Iray ) は元々 Lightwork Design Ltd. が開発していた NVIDIA Irayベースのソフトウェア開発キット (SDK) であり、同社の「Iray for 3ds Max」を始め、様々なNVIDIA Irayベースのプラグインなどに使われている。

Lightworks Designは最初、独自のレンダリングソルーションのLightworks Authorを他社に提供していたものの、2013年よりNVIDIA Irayの総代理店となってそのサポートを提供するようになり、Lightworks Iray はその利用を容易にするものとして開発されていた。Lightworks Designは2019年にシーメンスに買収され、その後、Iray はシーメンスより提供されるようになった。

関連項目

  • NVIDIA
  • 3ds Max
  • Maya
  • Softimage

脚注


Inventure Place Mental Ray using MDL

Mental Ray a retrospective CG Channel

Mental Ray PCC Polska

Mental Ray Tutorial

Mental Ray 3D Rendering Software Engine Autodesk